SSブログ

2.怒り [精神と言葉]

怒りについて考えた。
なぜ、私はそんな友達とのやりとりに腹を立ててしまったのだろう。

改めて考えてみるとすごくだらないことだ。
「自分がわかっていると思っていることについて、繰り返し忠告を受けた」ことに他ならない。
子どもの頃、テレビを見たりしている時に「勉強しなさい」って言われて、「今やろうと思っていたのに!」とすごく腹が立つことがあった。
あれだ。
「勉強をやらなければならない」とは頭でわかっていたから、改めて人から言われたくなかったのだ。
「わかっているよ!」ってやつだ。

ただし、60歳に近い人間のケンカでは、さすがに内容はそんなに単純ではなくて、手紙のやりとりをしている間、私は自分の苛立ちが単に「怒り」で説明できるなんて、思っていなかった。手紙の相手は思考の仕方にかなり傲慢なところがあったので、時々違和感を抱くことはあった。でも、実際に会って話してみると率直でウソのない人なのだ。手紙のやりとりがかみ合っていなかったので、会って話したかったのだけれど、それを拒否され、キレてしまったのだ。

忠告の内容は、私にとってはごく「あたりまえ」と思われる人付き合いについての考え方だった。私は自分なりに自分の人付き合いのルールを守って約60年間生きてきたので、それなりに自分のやりかたに自信を持っていたため、この忠告が少しずつ私の自尊心の壁を侵食していたようなのだ。

悪意のある手紙を送ったことについてはすぐに謝罪したが、許してはもらえなかった。
あとから来た友達の怒りの手紙でわかったことには、いろいろな言葉の解釈、視点、使い方などが大きく違っている感じだった。
そのいろいろな言葉の使い方について、こまめに説明してきた彼女の手紙には、私の「生き方」に対する批判も含まれていたし、まさに私の自尊心=自我そのものを直撃し、私の存在を否定する威力を持っていたため、途中で吐き気がするほど怒ってしまって、読めなくなって破り捨ててしまった。
ばかみたい。
関係ない人に同じことを言われてもなんともなかったと思う。30年間つきあっていて信頼している人の言葉だったから心に突き刺さってしまったのだろう。
その時の感情自体は「激怒」だとはわかったので、その日出かける約束をしていた他の友だちと会えば気分転換できると思って出かけてみた。だけど、あまりに怒りが激しくて、気分転換できなかった。怒りって、本当にふつふつとお腹の底から湧くものなのだ。とりあえず怒りを伝えるメールを打ったのだけれど、手は震えるし、考えは混乱するし、短い怒りのメールを作成するのに、約1時間も要してしまった。
家に帰ってから、破り捨てた手紙が気になって、セロテープでつなげて、だいたい読んでみたけど、特に言葉の定義についての彼女の解釈は、部分的にはよく理解できなかった。
もしかしたら、彼女には「相対」という視点が希薄なのかもしれなかった。

次の日、前日一緒に出掛けた友達が心配して様子を見に来てくれた。一緒に病院に行こうと思って来てくれたみたいだけど、私が「大丈夫」と言ったんだったか? 友達は「病院に行こう」とは言い出せず、他の友達に相談しに行って、別居中の夫に電話をかけてくれた。
その日はなんとか持ちこたえように思えたのだけれど、一眠りしたら? だったかな? その前からだったか記憶があいまいだけれど、とにかく頭の中真っ白になってしまって、パソコンの電源などもわからなくなり、一時は歩行も困難になってしまった。

今は、その手紙を捨てなければ良かった、と後悔している。
たぶん今なら笑えるはず。
それにその手紙が残っているなら、もう一度読んでみたい。ワープロで作成された手紙だったから、お願いすれば送り直してくれるかな? なんて、今は思っているけど、怒りを完全に鎮めて納得するまでに半年くらいかかったし、その間、まだ怒りの根源は残っていたから、それを吹っ切るために、「入院経過、退院、職場に復帰」するくらいまでのことを手紙に書いてまとめて送り、友達付き合いを断ってしまった。
その前に彼女に送った私の悪意が含まれている手紙は送り返されてきたけど、退院後に送った手紙は送り返されてこなかったので、受け取ってはくれたみたいだ。でも読まないで捨てたってことも考えられる。

この経験で得たこと。
1.自分ではわかりきっていると思っている事柄について人から繰り返し忠告を受けた場合、相手に悪意がないとわかっているか、善意を持って言ってくれていると感じられる時には、少しイラッとしても、いちいち腹は立てていられない。けれど、自分の心の中に毒としてたまっている時がある。
2.自分にとってトンチンカンと感じられるアドバイスは、『いちゃもん』に思えることがある。


コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0