5.また夏のはじめ ① [豚田豚饅頭店]
まだ長雨が始まる前。春から夏へのさかいめに、ブッキの店は大忙しになった。
アナジとハルミちゃんが結婚式をあげることになって、ブッキ特製の「まんじゅうケーキ」を作ることになったのだ。
というのは、タカンダ町には、ケーキ屋というものがなかったからだった。
おまけにケーキというものを知っている者もいなかった。ただケンモチ博士がやけに物知りなもので…。
「結婚式といえば、ケーキが必要ですな。ケーキさえあれば結婚式というようなものです」
と、よけいなことを言った。
「え? ケーキってなんですか?」
と、河馬家も大口家も大騒ぎである。ほかにももっといろいろ大切なこともあるのだろうが、みんなケーキというものに取りつかれてしまった。
いったどういうものなのか想像もできないのだから、アナジはケーキという黒い怪獣に追いかけられる夢まで見た。
「ハハハ。こわいものじゃあないよ。アナジ君。おいしくて甘い食べるものだよ」
というケンモチ博士も、実は本当には食べたことがなかったのだけれど…。
「ま。ブッキにたのんでまんじゅうでケーキを作ってもらいましょう。お菓子のようなものだから、少し甘くしてもらえば大丈夫でしょう!」
意外にケンモチ博士はいいかげんなのだ。みんなはケンモチ博士の言うことはなんでも信じて、実行しなければ…、という思いになってしまうというのに。
今までだって結婚した動物はたくさんいたというのに、前はどうしたのか…、なんてことは忘れ去られて、しばらく噂が広まるうちに「ケーキがなければ結婚できない」というふうになってしまったのだ。
ブッキだってもちろんケーキなんて知らない。
「なんだってオレが、そんなまぼろしのお菓子を作んなくちゃならねえんだ。毎日毎日忙しいっていうのに…」
「まあ、まんじゅうの大きいので甘いのを作っておけばいいでしょう。なんでも作ってしまって、これがケーキだと言ってしまえばいいんです。それがケーキということになりますからね」
ケンモチ博士はけろりとした顔でそう言った。
「でっかいまんじゅう?」
「こんなやつですよ」
とケンモチ博士がさらさらっと紙に描いてくれたのは、だんだん式に箱を積み重ねてあるようなものだった。一番下の箱が大きくてその上に少し小さいのが乗っていて、そのまた上にまた少し小さいのが乗っている。だんだん箱が小さくなって…。それが五段くらい。
「めでたいものですからな、できるだけ大きくて…、華やかで、甘くておいしくて、みんなで分けて食べられるものがいいでしょう」
ブッキはとっさに、厨房の中を見回した。ブッキの所にあるせいろでは、どんなに大きなまんじゅうを作ろうとしても、せいぜいアナジの顔の大きさくらいのものしかできないだろう。
そんな大きいまんじゅうを作っても、中までちゃんと火が通るのかどうか…。まんじゅうというのは、食べた感じや、柔らかさ、温かさ、いろいろな要素が集まっておいしくなるのだ。
「ただ大きくしただけでは、おいしいまんじゅうができるわけないのに…」
ブッキは頭を抱えた。
ケンモチ博士はわかったようなわからないような説明を続ける。
「周りに飾りをつければいいでしょう。ケーキとはそういうものなんです!」
「自分ではただ考えるだけで、ちっとも動くわけじゃないもんな。まったくお気楽な博士だよ」
ケンモチ博士の耳は地獄耳なので、ブッキは心の奥の奥で、悪態をついた。
結婚式はヒロッパラでやることになった。そうなるとその会場まで、その大きなケーキを運んで行くことも考えておかなければならない。「豚田豚饅頭店」からヒロパラまでできあがったケーキを運ぶにはどうしたらいいだろう…。
コタロウに熱気球を頼むこともできるが、一度に運ぶ量が限られるし、大げさすぎるような気がする…。
そう思って目を閉じたとたんに、ブッキはひらめいた! ブッキの頭の中にはもうケーキという大きいお菓子の全体像ができあがっていた。
なにをどうやってどう作るか。それをどうやってヒロッパラに持っていけばいいのか。
そうして、いつものように頭の中でその組み立て図ができあがると、もうやってみたくてうずうずしてしまうのだった。厨房の片づけをしながらも自然、ブッキはうきうきして、知らず知らずのうちに歌まで口ずさんでいた。
ブッキ
ブッキ
かわいい ブッキ
ゆっくりお眠り、静かにお眠り
やさしい、たのしい夢をずっと、ずっと見続けておくれ
そしてハッとした。
「なんだって、オレはこんな時に子守歌なんか歌ってるんだ! 歌うにしたってもっとましな歌があるだろうに! ちぇっ、おもしろくもねえ」
厨房には一人きりで、だれが見ているというわけでもないのに、ブッキは顔をしかめて、ブツブツ文句を言った。うきうきとうかれてくる顔を難しい顔に戻すのだった。
それでも、また作業を始めると、ケーキの構想が浮かんで、気持ちが浮き立ってきてしまう。そして、口に出てきてしまう歌はけっきょく子守歌しかないのだった。そのたびにブッキは自分を戒め、歌をやめてまたおもしろくないような表情を作る。そんな繰り返しをするのだった。
ブッキが一人で饅頭店を始めるようになってからこの一年間、一日として休んだことはなかった。だが、アナジとハルミちゃんの結婚式の日は、このまんじゅうケーキを作るために、お店としては一日お休みすることになった。そして、まんじゅうケーキを完成させるために、一日前からいろいろ手伝いの動物が来ることになっていた。
例によって、ニクエもユコもわざわざシオシオ町から呼び出されて、メイコの家に泊まることになっていた。
「まったく、明日はお休みって…。ちっともお休みにならないお休みじゃないか。かえっていつもより忙しいくらいで、迷惑だ!」
仕込みの頃からブッキは不愉快だった。本当のケーキというものの実態は、けっきょく今ひとつわかっていないのだ。
「どうせ、だれも見たことがないんだからな。オレが勝手に作ってこれがケーキだと言えばいいんだ。そう博士も言ってたしな。簡単なことさ」
ブッキは頭の中にできているまんじゅうケーキのことを思い浮かべ、前の日から、もうすべての手順どおりに行くように準備を整えていた。いつものように無駄もなく、次から次へとやり方が浮かんでくる。
「どうして、オレは、つぎつぎにやることが浮かぶのか…。浮かびさえしなければ、こんなにつぎつぎにやることもないのに…」
大きいケーキを作るのはあまり良い考えではない。とブッキは思い、いつもの白まんじゅうをたくさん作ることにしていた。いつも作っているまんじゅうなら失敗もないし、ブッキが思ったような蒸かしぐあい、柔らかさ、味に仕上げることができる。それに、そのまんじゅうならニクエとユコにまかせても大丈夫だろう。
ブッキは白まんじゅうの生地作りからのすべてをニクエとユコにまかせてしまうことにした。この二人でできるだけの白まんじゅうを作ってもらえばいい。
ブッキはそのほかにやることがいっぱいある。その用意をせっせと始めた。
熊田深夫がまんじゅうと交換に置いて行った、はちみつ。大口家の方から御礼にと届いていたたくさんのさくらんぼ。裏山から取ってきてあった桑の実。そんなものをどういうふうに使うのか、またつぎつぎにやり方が浮かんでくる。
「まったく、オレは損な性格さ。こんなことやったって、なんの得にもなりゃしないのに…。すぐに考えつくし、考えつけばやりたくてうずうずする。ほんとうについてない、どうしようもないブタさ」
と言いながらブッキの手は休みなく動いていた。
さて、そこまでが前の日の仕込みで、結婚式の朝は、もっとたくさんの動物が、結婚式の会場となるヒロッパラに集まっていた。
ニクエとユコは朝もはよから白まんじゅうを丸めて、どんどん蒸かしていた。
タカンダ町の荷車という荷車はぜんぶマチカネ坂を上がり、もう豚田豚饅頭店の前に並んでおり、どんどこ蒸かしたまんじゅうは、どんどここの荷車に乗せて、どんどこヒロッパラに運ばれることになっていた。
昨日仕込んだものやら、器やら、調理の道具やらを荷車に乗せて、ブッキは先にヒロッパラにやってきた。
ブッキは初めて、ヒロッパラの方からボウボウの自分の店を見上げた。ほう、たしかにキタヤマがぶつくさ文句を言っている。うまいこと表現をしたものだ。オヤジの文句を言うさまは、ほんとうにあんな感じだった。キタヤマはいかにも怒っているように湯気をモクモクと出し、その湯気は空の雲にとけ込んでいく。
ヒロッパラには、ケイコばあさんが家族みんなを連れて来ていたし、牛野家、八木田家、象野家、犀玉家、兎野家のほか、ウサギ団地からもたくさん来ていて、知った顔も知らない顔も家族みんなで手伝いに来ていた。そのみんなが、ブッキがやって来るのを待っていて、ブッキの姿を見かけると、みんなは盛大な拍手で迎えた。
ブッキはびっくりするやら、照れくさいやら。どんな顔をしていいのかもわからず、みんなの真ん中に連れて来られた。
みんなはしーんと静まりかえった。
ケンモチ博士がヒロッパラの中央に台を用意していて、拡声器も用意していた。
「さあ、ブッキ! さあさあ台の上に乗って! これでみんなに指示を与えて下さい。誰が何をどういう順序でしたらいいのか…」
そう言うと、ケンモチ博士は、ブッキを台の上に押しやった。
さて、ブッキの頭の中では、もうなにをどうしたらいいのか、ちゃんとできているのだが、それをみんなに説明すると思うと…。ブッキは真っ赤になって、目を白黒させた。口の中でブツブツ文句を言うのとは勝手がちがう。こんなにいっぱいの動物の前で何か言うなんて、今まで一度としてなかったことだった。
まずブッキはえへんと胸を張ってみた。そして拡声器に向かって
「あーーー」
と、まず声を出してみた。
みんなは相変わらずしんと静まりかえって、次の言葉を待っている。
「ちぇっ! なんでオレがこんなことまでしなくちゃなんねえんだ!」
まず最初に浮かんできたのは、そんな言葉だったけれど、これはのどのところでぐっと押さえて外には出さなかった。
えへんえへんとせきをふたつほどしてみる。
「えー、みなさん、よくお集まり下さいました!」
こんなていねいな言葉を使うのは初めてのことだし、なんだか、じっと見つめられて、すごく変な気持ちになってくる。
「ここ、この台のあるまんなかの所にまんじゅうケーキを置くから、まずこのあたりの雑草は綺麗に取るように!」
ブッキの声は、スーっと、立ち並ぶ動物たちの上をただ通り過ぎて行っただけだった。
「えー、それで雑草は、花が咲いているやつは、あとで使いますから、こっちに用意して
ある水の入った入れ物に入れて行ってください! 三つ葉の葉っぱもきれいに取って、くれぐれも、土は入れないように!」
ヒロッパラには今、シロツメクサ、ドクダミ、ムラサキカタバミが多かった。ムラサキカタバミは紫と名前についているけれど、見た感じでは濃いピンクに近い。これはシロツメクサと一緒に葉っぱまで使おうとブッキは思っていた。
わかっているのかわかっていないのか、だれも声を出さない。
「ちょっと臭い白い花は、その葉っぱと一緒に集めて並べて下さい。お日様の当たるところに!」
じっとブッキを見つめるみなの顔は真剣だった。
「それでは、みんなでやって下さい」
なんでだか知らないけれど、みんなが拍手した。
なんでだか知らないけれど、ブッキは気持ちよかった。
ヒロッパラの真ん中はあっという間にきれいになり、そのころには、ボウボウのブッキの店から蒸かしたての白まんじゅうを乗せた荷車がやってきていた。
草がなくなったヒロッパラの中央に、ブッキは、まずきれいにした葉っぱを敷いた。そして最初に3個の白まんじゅうを三角に並べた。
次に、その三つのまんじゅうの上に湯煎した寒天を一さじのせて薄くのばす。寒天はフカオがいつも持ってくるはちみつと、ケンモチ博士の農場で育ったレモンでうすあまい味を付けてあった。
三つのまんじゅうの真ん中に、寒天が固まらないうちにもうひとつを置く。そうやって小さい三角の山ができた。これが基本の形。まんじゅう四つ。
ここから基本のまんじゅうの周りに、ぐるりとまんじゅう一つぶんずつ置いていって、また上に寒天をぬる、そしてその上にレンガを積み重ねるみたいに、半個ずらしてまんじゅうを重ねていく。
真ん中の芯になるところまで、ブッキはていねいにみんなに教えながらまんじゅうを積み重ねていった。
動物たちは、こちこちに固まって、じっとブッキの手の先を見つめ、まじめに静かに聞いている。
「少しくらい形の変なのがあっても、寒天でくっつくから気にしないように。真ん中に寄せるように積み上げていけばいいでしょう」
また、動物たちからいっせいに拍手がおこった。
そうすると、ブッキはえへんと胸を張ってしまう。
「じゃあ、みなさん、やってみてください」
まわりに動物たちが集まって、ブッキがやったようにどんどん下に広げては上に積み上げていく。寒天はほどよくかたまって、まんじゅうのケーキができあがっていった。それは白い塔のようになっていった。
つぎつぎにキタヤマから来る荷車のまんじゅうは、あっというまに山に積まれて、また次の荷車がやってきた。こうやって、できただけのまんじゅうがまんじゅうケーキになっていった。
ブッキが一人でやっていたら、もっと形が良くできたのだろうが、みんなそれぞれにあっちからこっちから積んでいったもので、少し形のくずれたような山ができた。でも、まんじゅうの味に変わりはない。
ブッキはそれを眺めながら「しょうがないな。みんな初めてやることだし、どうせ食べてしまうんだからな。まったくしょうがない」とブツブツ言っていた。
まんじゅうケーキはブッキの背より高くなった。
手が届かなくなると、ケンモチ博士から脚立を借りて、積んでいく。最後の一つはケンモチ博士がうやうやしくてっぺんに置くことになった。
「さあ! これが最後です! みなさんごくろうさまでした!」
ここでまたみんな拍手。
ブッキはその白い山を見上げて、次の作業の準備を始めた。
またケンモチ博士の脚立を使って、仕上がった山の上からクワノミのジャムを塗っていく。濃い紫色のジャムで、山が覆われると、ブッキはまたえへんと胸を張った。
まんじゅう積みの作業を終えた動物たちが、じっとそれを見守っている。
「さ、このジャムの上に、花を置いていってください。ていねいにね。花は色をそろえて、順番に縞模様になるいように並べて下さい」
シロツメクサとムラサキカタバミの花、ときどき葉っぱが混じって、まんじゅうの山は埋め尽くされていった。
それは、おおきい山に白とピンクのリボンをかけたようなしましまもようになった。
ムラサキカタバミの最後のひとつは、やはりケンモチ博士が飾ることになった。博士はなんでも大げさにするくせがあるようだ。
「さあ! これが最後の花です。これでまんじゅうケーキができあがります!」
まるで、演劇の主人公にでもなったように、ケンモチ博士は大きい身振りでみんなに花を見せて、うやうやしく飾った。
自分の作業を終えて、見つめている動物たちが、またいっせいに拍手した。
「華やかってのは、どんなのかな。花がたくさん集まれば華やかでいいのかな…」
ブッキがぼっそりと言うと
「おお! まさにその通り! 花を使うなんて、最高のアイデアですな! これこそがケーキと呼ぶのにふさわしいものです」
ケンモチ博士はまた大げさに喜んだ。
ちょうどできあがるころに、支度の整ったアナジとハルミちゃんがやってきた。
「すごーい。きれい!」
とハルミちゃん。
「ケーキって始めてみたけど、でっかくてきれいなもんなんだな」
とアナジが言った。
「きれいなだけじゃあない」とブッキは思った。オヤジが作ってきた白まんじゅうは、何の味にでもよく合う。ジャムと寒天のほどよい甘さで、どこから食べてもおいしいはずだった。
「はて?」
とブッキは不思議に思った。あんなにがんこで動物づきあいが苦手で、文句ばかり言っていたオヤジだったのに、何の味にでも合うようなまんじゅうを作るなんて、どういうことなんだろう。あのオヤジだったら、もっと癖のある、誰も食べられないようなまんじゅうを作っていそうなものなのに…。
そうしてブッキははっきりと思った。オヤジにはそのやり方しかできなかったのだ。そうやって動物とつき合って、おいしいと誉めてもらうことが、オヤジの喜びだったのだ。
ケンモチ博士の司会で、アナジとハルミちゃんはケーキの前に立って、結婚の誓いの言葉を言った。ステキな白いレースのウエディングドレスに、白いベールをつけたハルミちゃんは重量級だから、ド迫力だった。
「ずっといつまでもハルミちゃんのことを愛します!」
「わたしもアナジさんのことを愛します!」
「はい! それでは、誓いのキスをして!」
アナジとハルミちゃんは真っ赤になったけれど、ケンモチ博士のいうとおり、向かい合って、チュッとかわいいキスをした。
ここで今日一番のすごい拍手の嵐。
なんだか、みんなじーんと二人のことを見ていて、喜びの気持ちをどうにか表したくて、いっしょうけんめい手をたたいているのだった。
ブッキは、「ふん」と鼻を鳴らしながら、照れているような恥ずかしいような気持ちになった。拍手するのには抵抗があったが…。誰にも気付かれないようにしながら、下のほうで、パチパチと拍手をしておいた。
でも、もう次の作業をするので、すぐにドクダミを集め始めて、ちっとも休んでいない。
「さあ、ケーキカットです!」
とケンモチ博士が言った。
「みなさん、どこからでもまんじゅうを取って食べてください」
みんな朝から働いて、おなかがぺこぺこになっていたので、ぐるりと取り囲んで、どんどんまんじゅうを食べ出した。
「ちぇっ! オレがまだ忙しく働いているというのに、まったくのんきな博士さ! そんな博士の言うなりになるなんて、まったくマヌケな動物たちさ!」
ブッキは、日に干したどくだみで、ちょっと苦いお茶を作っていて、それをみんなに渡して行った。ブッキは休むということを知らない。つぎつぎにやることが浮かんでくるのだからしかたがない。
甘いまんじゅうで口のなかがねっとりと甘くなる。それをちょっと苦いお茶で流してやる。味の計算もばっちりだった。
それに、ブッキはまだみんながあっと驚くような工夫を、しかけていたのだ。
白まんじゅうだと思っていたいくつかのまんじゅうの中からは、サクランボの甘いのが出てくる。
昨日、ヤギミルクのクリームでサクランボを甘く煮詰めておいた。それをニクエとユコにたのんで、ひとつずつまんじゅうにくるむようにいしておいた。
白まんじゅうをいくつか作ったら、一つサクランボ入りのまんじゅうを作る。あるだけのサクランボを適当な順番で混ぜればいい。
「あ! サクランボだ!」
と、あちこちで声があがった。
「サクランボが入っていたのは、当たりだぞ! それに当たったやつは運がいい。でもはずれたからって運が悪い訳じゃない。おいしいまんじゅうには変わりないからな」
何も入っていないと思っていたものの中から、なにか出てくるというのは、なんとも楽しい、うれしいことだった。
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