アフリカゾウ

逃げも隠れもしない。
てか、隠れられない。
でもだんだん暗くなってきて
うす暗闇になってくれば、ただの岩になれるかな。
そのまま朝になれば、ただぼ～っと空気のなかになじんで、
水浴びしたり、草をひきちぎって食べたり、風景になったりする。

生まれた時からしわしわで、年を取って見えるのは
代々の教えとその生きざまを身体の中に保っているからなんだ。
時間と空間には目盛がないから、
草をかみながら時を数え、足踏みしながら空間を測っているんだ。
水の中に浮かんで、軽さを知り
砂嵐に巻き込まれて、重さを知りたいんだ。
アフリカの大地の一つの点として、ただそこにいたいんだ。

意外と小心だから驚かさないでね。
走ると早いけど、走りたくはないんだ。
ゆっくり、ゆっくり、まだまだ測りたい場所があるからね。
それから…、ぼくの朽ち果てる場所は秘密にしておくね。