ゴミ [ショートショート]
昔、あたりはゴミだった
駅まではゴミの山だった
あの時はゴミとは思っていなかったのだけど
どう考えてもゴミだったわけなのだ
どうも自分もゴミだったらしい
自分では認識していなかったのだけど
それじゃなくちゃ
ぽいと丸められなかっただろうし
ぽいと捨てられなかっただろう
じゃあどうする?
ゴミにはゴミのいる場所があるのだと
昔は気がつかなかったのだけれど
どうやらそのゴミ捨て場にいることが最近わかったのだ
ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ
これを歌にしえしまえ
ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ
ついでに踊り出してしまえ
それを人はやけくそというのかも知れないけど
その中に埋もれてさえいれば
周りは見えないのだし
もしかしたら、
ゴミなりの人生もなかなか味があるのかもしれないし
駅まではゴミの山だった
あの時はゴミとは思っていなかったのだけど
どう考えてもゴミだったわけなのだ
どうも自分もゴミだったらしい
自分では認識していなかったのだけど
それじゃなくちゃ
ぽいと丸められなかっただろうし
ぽいと捨てられなかっただろう
じゃあどうする?
ゴミにはゴミのいる場所があるのだと
昔は気がつかなかったのだけれど
どうやらそのゴミ捨て場にいることが最近わかったのだ
ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ
これを歌にしえしまえ
ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ
ついでに踊り出してしまえ
それを人はやけくそというのかも知れないけど
その中に埋もれてさえいれば
周りは見えないのだし
もしかしたら、
ゴミなりの人生もなかなか味があるのかもしれないし
狂気 [ショートショート]
あしあと [ショートショート]
クッキー [ショートショート]
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋の
白い印刷の文字
それはバニラの味で
茶色い文字がショコラ
ピンクの文字がストロベリー
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋は
ただの袋だから
何も入っていなくても文字は消えない
クッキーの
ひとつひとつを味わって
今、中身のなくなった袋を見ている
透明の袋の中に入っていたもの
それがなくなると袋の向こうが見えるね
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋が
大きい一つの袋にまとまっていて
それはスーパーの決まった場所にある
そのクッキーを買うためにその場所に行ける
スーパーの迷路をなんとなく覚えている
好きなもの
食べたいもの
必要なもの
ただ通って確かめたいもの
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋は
この棚の上にいったいいくつあるのか
ほかのクッキーも包んでいるから
それは膨大な数だ
その膨大な数の中から
今手の中にあるひとつの袋
目をつぶって手探りで引っ張ってきた
さあ袋を空けます。
香りで何かわかりますかな?
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋から
こぼれ出たひとつ
口の中でほろほろと溶ける
その時間を味わう
ひとつひとつを包むセロファン袋の
白い印刷の文字
それはバニラの味で
茶色い文字がショコラ
ピンクの文字がストロベリー
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋は
ただの袋だから
何も入っていなくても文字は消えない
クッキーの
ひとつひとつを味わって
今、中身のなくなった袋を見ている
透明の袋の中に入っていたもの
それがなくなると袋の向こうが見えるね
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋が
大きい一つの袋にまとまっていて
それはスーパーの決まった場所にある
そのクッキーを買うためにその場所に行ける
スーパーの迷路をなんとなく覚えている
好きなもの
食べたいもの
必要なもの
ただ通って確かめたいもの
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋は
この棚の上にいったいいくつあるのか
ほかのクッキーも包んでいるから
それは膨大な数だ
その膨大な数の中から
今手の中にあるひとつの袋
目をつぶって手探りで引っ張ってきた
さあ袋を空けます。
香りで何かわかりますかな?
クッキーの
ひとつひとつを包むセロファン袋から
こぼれ出たひとつ
口の中でほろほろと溶ける
その時間を味わう
手当 [ショートショート]
現実 [ショートショート]
たまねぎ(2) [ショートショート]
あきらめ [ショートショート]
昼寝 [ショートショート]
風の通り道で横になっていると
もうたまらなく眠くなってきて
身体は床と一体化
どうにも動きがとれなくなる
いろいろな話声が聞こえてくる
その声の主は
羽虫だったり
ほこりだったり
彷徨える魂だったりするのだけれど
私に話しかけているのか?
羽虫同士でおしゃべりしているのか?
ほこりが魂に声かけているのか?
それぞれが勝手に話しているのか?
話はかみあっていないし
眠すぎて頭が動いていないから
言葉を追いかけられない
意味をなさない話声が
わんわんんとくすぐったい
そんな騒がしい中でまどろんでいる心地よさ
何かがそばにいて世界が埋まっている心地よさ
あまりにもたわいなく
何も心に引っかからない
幻のような日常がさらに幻となる時間に浸る
もうたまらなく眠くなってきて
身体は床と一体化
どうにも動きがとれなくなる
いろいろな話声が聞こえてくる
その声の主は
羽虫だったり
ほこりだったり
彷徨える魂だったりするのだけれど
私に話しかけているのか?
羽虫同士でおしゃべりしているのか?
ほこりが魂に声かけているのか?
それぞれが勝手に話しているのか?
話はかみあっていないし
眠すぎて頭が動いていないから
言葉を追いかけられない
意味をなさない話声が
わんわんんとくすぐったい
そんな騒がしい中でまどろんでいる心地よさ
何かがそばにいて世界が埋まっている心地よさ
あまりにもたわいなく
何も心に引っかからない
幻のような日常がさらに幻となる時間に浸る